2007年02月27日

●26年ぶりに甦るクライバーの『カルメン』(EJ第1474号)

 カルロス・クライバーの音楽について知ろうとするなら、彼の
指揮したオペラを一曲聴いてみるべきです。一番いいのは、昨日
のEJでお知らせしたリヒャルト・シュトラウスの楽劇『ばらの
騎士』を聴くべきです。なぜなら、この曲ほどクライバーが愛し
たオペラはないし、彼が一番得意とするオペラだからです。
 しかし、この『ばらの騎士』は、今までオペラをあまり観たこ
とのない人にとって少し難しいかもしれません。そこで同じシュ
トラウスでもヨハン・シュトラウスの次の喜歌劇をぜひ推奨した
いのです。この曲なら、はじめてオペラを聴く人でも十分楽しめ
ると思います。
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 ヨハン・シュトラウスU世
 喜歌劇『こうもり』≪全曲≫
 グラモフォン(ウニテル)[D]WOOZ24011〜2
 オットー・シェンク演出
 カルロス・クライバー指揮/バイエルン国立O
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 問題なのはこれはDVDではなくLDなのです。LDを持って
いる人は少なくなっており、誰でも観ることができないという問
題点があります。私はこのLDを所有しており、その素晴らしさ
がよくわかりますが、これほど満足感の高い『こうもり』はかつ
て観たことがないのです。
 このLDの映像編集者はデライアン・ラージという人ですが、
彼は序曲だけでなく、あちらこちらにクライバーの指揮姿を実に
巧みに挿入しているのです。そのため彼の指揮ぶりが一層良くわ
かるようになっています。とにかくクライバーを聴くのに、これ
ほど最適なLDはないと思います。
 しかし、LDを持っていないがどうしてもクライバーの指揮す
るオペラを観たいという人にとって朗報があります。1978年
にクライバーがウィーン国立歌劇場を振った歌劇『カルメン』が
DVDで再発売されています。正式の発売日は11月26日です
が、ネットショップは既に売っています。データを示します。
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 ビゼー
 歌劇『カルメン』≪全曲≫
 TDKコア[S]TDBA0060
 カルロス・クライバー指揮/ウィーン国立歌劇場O
  カルメン:エレーナ・オブラスツォワ
  ホセ  :プラシド・ドミンゴ
  ミカエラ:イゾベル・ブキャナン
 収録/1978年12月/発売2004年11月26日
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 私は『カルメン』というオペラが好きなのです。それには理由
があります。それは私が最初に観たオペラであるからです。19
59年11月――ちょうど日本にはイタリア・オペラが来ており
東京文化会館で公演が行われていたのです。マリオ・デル・モナ
コ、レナータ・テパルディなどによる公演です。
 しかし、切符は完売であり、入手不能でした。ちょうどそのと
き、パリ・オペラ座が同時に来日中で、歌劇『カルメン』を有楽
町の東京宝塚劇場で公演中だったのです。こちらのチケットにつ
いては何とか入手できたので、観ることができたのです。
 オペラというのは、すべてそうですが、1回観ただけではその
良さを理解するのは難しいと思います。しかし、パリ・オペラ座
の公演には圧倒されたことを覚えています。その後、機会がある
ごとに何度も『カルメン』を観て、私の最も好きなオペラの1つ
になったというわけです。
 そういう『カルメン』好きの私から見て、クライバーの『カル
メン』は絶対に買いであると思います。クライバーの棒とウィー
ン国立歌劇場についてはいうに及ばず、いうことなしですが、そ
れに加えて、歌手の選択が実に適材適所であるからです。
 主役のホセという役柄は、最初は真面目で柔和な人間がカルメ
ンと接することによって野卑で凶暴な性格に変貌していく――そ
の変化を演ずる歌手でないと務まらないのですが、ドミンゴはそ
の役柄を見事に演じています。
 オブラツォワのカルメンもまさに適材――一種の繊細さを保ち
ながらも自由奔放に生きる妖婦の姿を巧みに演出しています。こ
のオペラは、妖婦としてのカルメンとホセのドロドロとした関係
の中に唯一清楚さを演出するホセの許婚のミカエラの存在が重要
なのですが、ブキッャナン扮するミカエラも実に印象的です。
 クライバーの指揮については、音楽評論家である宮崎滋氏が次
のように述べています。
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  クライバーの棒の持つくだんの精彩は、この『カルメン』全
 編にゆきわたっており、その終始たたみかけるような音楽作り
 からオーケストラの内奥からの鳴りの良さ、舞台を際立たせる
 ための演出的な棒さばき、そして彼独自のきわめて刺激的なア
 タックや強烈な現代感覚が舞台幕開けから一本の筋金のように
 読み取っていける演奏。文字通りクライバー音楽の特性が集約
 されているかのような一曲である。      ――宮崎 滋
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 このオペラの演出は、フランコ・ゼッフィレッリ――彼の演出
についても、批評家の評価は高いのです。ゼッフィレッリの一流
のスケール感、舞台装置の充実性、具象的でわかりやすい演出で
いながら、安直な箇所はひとつもないという格式と重量感を感じ
させる演出と絶賛しています。
 とにかく、クライバー、ゼッフィレッリ、ドミンゴ、オブラツ
ォワによる『カルメン』――26年ぶりに甦るのです。検討して
いいDVDでしょう。カルロス・クライバーのテーマは今回で終
了し、明日からは新しいテーマです。
                 −− [クライバー/09]

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posted by ここから at 05:06| Comment(0) | TrackBack(0) | クライバー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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